総合商社7社の第2四半期決算を分析|増益の理由と下期の見通し【2027年3月期】

総合商社7社の第2四半期決算分析を表す円グラフのイラスト

総合商社7社の上期決算は、そろって増益になりました。資源価格や円安が追い風なら、どの会社も同じように好調だったのでしょうか。利益が増えた会社でも、通期予想を引き上げたところと、据え置いたところがあります。

今回の決算で差が出たのは、資源やエネルギーの稼ぎに加え、事業の売却、税効果、新しく取得した事業の貢献です。増益の大きさだけでなく、何が増益を生み、下期にも何が残るのか。7〜9月の動きまで追うと、各社の好調さの中身が見えてきます。

上期純利益は7社すべて増益

上期純利益の首位は三菱商事で、前年から約74%増えました。伊藤忠商事と三井物産が続き、上位3社はいずれも5,000億円を超えています。増益率では、豊田通商と双日も約40%と大きく伸びました。

7社の上期純利益を前年と比較した横棒グラフ
7社の上期純利益と最新通期予想
会社 前年上期 当期上期 増減率 通期予想 進捗率
三菱商事 3,558.0 6,197.0 +74.2% 12,000 51.6%
伊藤忠商事 5,002.8 5,804.7 +16.0% 9,500 61.1%
三井物産 4,237.3 5,748.6 +35.7% 10,500 54.7%
住友商事 3,012.4 3,478.7 +15.5% 6,700 51.9%
丸紅 3,055.0 3,380.3 +10.6% 6,300 53.7%
豊田通商 1,869.2 2,620.3 +40.2% 4,300 60.9%
双日 452.8 635.9 +40.4% 1,300 48.9%

2027年3月期上期=2026年4〜9月。純利益は連結・親会社所有者帰属(伊藤忠は当社株主帰属)。金額は億円、増減率は原数値から計算。進捗率の分母は11月5日時点の最新通期予想です。

三菱商事の増益額は約2,639億円で、7社の中でも大きな変化です。一方、伊藤忠商事は前年上期にすでに5,000億円を稼いでいたため、増益率は16%でも利益額は高い水準にあります。率の大きさと、もともとの利益規模は一致しません。

豊田通商では資源・メモリ市況や自動車販売、双日では化学やインフラ関連事業などが寄与しました。ほぼ同じ増益率でも、業績を支えた事業はかなり違います。

7〜9月に利益がどう変わったか

上期累計では、4〜6月の好調さがその後の動きを覆い隠すことがあります。7〜9月単独の純利益では、三菱商事と伊藤忠商事の伸びが大きく、丸紅は前年の同じ3カ月とほぼ同額でした。

2026年4〜6月と7〜9月の純利益比較
7〜9月単独の純利益
会社 前年7〜9月 当期4〜6月 当期7〜9月 前年同期比
三菱商事 1,526.8 2,985.2 3,211.7 +110.4%
伊藤忠商事 2,163.4 2,937.6 2,867.1 +32.5%
三井物産 2,320.9 2,940.5 2,808.1 +21.0%
住友商事 1,303.7 1,900.8 1,577.9 +21.0%
丸紅 1,511.0 1,864.3 1,516.0 +0.3%
豊田通商 885.8 1,352.6 1,267.7 +43.1%
双日 242.0 302.2 333.7 +37.9%

単位:億円。7〜9月単独利益は各社短信の上期累計から4〜6月累計を差し引いた独自計算。前年同期比は前年7〜9月との比較です。

三菱商事は4〜6月の2,985.2億円に対して7〜9月が3,211.7億円と、利益額がさらに増えました。前年7〜9月との比較では約110%増です。最初の3カ月に続き、7〜9月も利益を伸ばしました。

伊藤忠商事は7〜9月単独で約33%増益でした。会社が示す基礎収益も、4〜6月の2,495億円から7〜9月には2,550億円へ増えています。前年の一過性利益の反動で累計の増益率が抑えられる中でも、事業の稼ぎは伸びています。

丸紅の7〜9月利益は1,516.0億円で、前年同期の1,511.0億円に近い水準です。上期の約11%増益という数字だけでは、直近3カ月の利益がほぼ横ばいだったことは伝わりません。前年の評価益の反動が響いた一方、一過性要因を除く会社指標の実態純利益は大きく増えています。

4〜6月の決算で各社が何を見込んでいたかは、第一四半期の比較記事でも確認できます。今回の数字とつなげると、上方修正まで進んだ事業と、先行していた一過性利益の違いが分かります。

三菱・伊藤忠・三井の増益を支えたもの

上位3社では、増益につながった収益源が異なります。三菱商事は資源とエネルギー、伊藤忠商事は幅広い事業の基礎収益、三井物産は事業の改善に資産リサイクルが加わりました。

三菱商事:資源とLNGが大きく伸びた

三菱商事の純利益は6,197.0億円でした。会社が示す巡航利益も、前年の3,148億円から5,391億円へ増えています。

エネルギー&パワーソリューションの利益は1,053億円から1,901億円へ、金属資源は466億円から1,358億円へ伸びました。前者では北米LNGの生産開始に伴う取引増やアジア太平洋のLNG事業からの配当増、後者では豪州原料炭や銅の市況上昇が寄与しています。

会社の増減益分析では、資源価格が約850億円、為替が約320億円の押し上げ要因です。資源価格と為替の合計だけでも、前年との差のかなりの部分を占めます。販売数量や事業運営の改善に加え、外部環境の追い風も大きかった上期です。

資産・事業リサイクル関連損益は1,092億円で、エム・シー・ヘルスケアホールディングス株式の売却や、Olam Group傘下事業の売却、千代田化工建設の持分法適用化に伴う再評価などが含まれます。こうした利益が、資源・LNGの増益に上乗せされました。

通期予想は1兆1,000億円から1兆2,000億円へ増額されました。上期の伸びは大きいものの、会社の見通しでは米国シェールガスの市況下落や生産数量の減少、コスト増が逆風として挙げられています。「エネルギーが強い」という一括りでは、好調なLNGと課題のあるガス事業の差が消えてしまいます。

下期に問われるのは、上期に上がった資源価格がどう動くかと、新しく稼働した事業の収益がどこまで積み上がるかです。資源価格の上昇分が落ち着いても数量や操業の改善が続くなら、今回の増益には翌期へつながる部分が残ります。

伊藤忠商事:一過性利益が減っても増益

伊藤忠商事の純利益は5,804.7億円で、前年から約802億円増加しました。基礎収益は3,790億円から5,045億円へ約33%増加し、全セグメントで増益です。一方、一過性損益は1,215億円から760億円へ減りました。

前年の大きな利益がなくなっても、それを事業の伸びで埋めたことが、この決算の特徴です。非資源分野の基礎収益は3,280億円から4,270億円へ増え、金属など資源分野の改善も加わりました。非資源か資源かの二者択一ではなく、両方が伸びています。

機械の基礎収益は589億円から882億円へ増加しました。北米電力の需要・売電収入の増加や、日立建機の取込比率上昇などが寄与しています。機械には東京センチュリーの社債型種類株式引受に伴う税金費用改善などもあるため、セグメント全体の増益468億円には事業成長と一過性要因が混在しています。

食料は純利益が644億円から647億円へと小幅な増加でしたが、基礎収益は559億円から662億円へ伸びました。Dole加工食品の取引増や伊藤忠食品の完全子会社化などが寄与し、前年の一過性利益の反動を補っています。最終利益の伸び率だけでは、この変化は見えにくくなります。

通期予想9,500億円は据え置かれ、進捗率は61.1%です。上期を単純に2倍にすると通期予想を大きく超えますが、そこには一過性利益も含まれます。また会社は、情報・金融や住生活の不動産売却などで下期に利益が偏る部分を説明しています。下期は、上期の一過性利益に代わって、これらの事業がどこまで稼ぐかが焦点です。

三井物産:資産リサイクルも利益を押し上げた

三井物産の純利益は5,748.6億円で、前年から約1,511億円増えました。金属資源に加え、モビリティ・デジタル・インフラ、化学品、イノベーション&コーポレートディベロップメントが増益に寄与しています。

モビリティ・デジタル・インフラの利益は1,027億円から1,537億円へ増えました。米州の自動車販売・リースやガス配給などの貢献に加え、ブラジル旅客鉄道子会社の社外化に伴う利益が含まれます。化学品は435億円から702億円へ増え、トレーディングや米国メタノール市況の改善、子会社化関連損益などが寄与しました。

今回の増益には、米国不動産所有・運営事業CIM Groupの再編に伴う資産リサイクル益453億円、ブラジル旅客鉄道に関する206億円などもあります。会社の要因分析では、資産リサイクルが約590億円、評価性・一過性損益が約250億円の増益要因です。市況・為替の約530億円の押し上げとともに、利益を大きくしています。

そのため、純利益の約36%増を、そのまま既存事業の販売や生産の伸びと受け取るのは早計です。資産を入れ替えて収益を確定する力も商社の稼ぎですが、同じ資産を翌年もう一度売却することはできません。次の案件の利益と、保有し続ける事業の成長の両方が必要になります。

通期予想は9,200億円から1兆500億円へ引き上げられました。化学品を350億円、エネルギーとモビリティ・デジタル・インフラをそれぞれ300億円増額するなど、複数分野の見通しを見直しています。

上期のエネルギー利益は1,022億円から1,033億円とほぼ横ばいでしたが、会社は下期にLNGトレーディングの本格的な利益貢献を見込んでいます。すでに上期に増益した分野に加え、下期に稼ぐ予定の事業があることが、今回の上方修正を支えています。

住友商事と丸紅は増益の理由が違う

両社の上期純利益は3,000億円台ですが、前年からの変化は対照的でした。住友商事では税効果が最終利益を押し上げ、丸紅では前年の評価益の反動を事業の増益が補っています。

住友商事:税効果と事業改善が重なった

住友商事の純利益は3,478.7億円で約15%増えました。ただし、税引前利益は前年の3,724.0億円から3,449.6億円へ減っています。純利益の増加に効いたのが、マダガスカルニッケル事業の売却に伴う税効果です。

法人所得税は、前年の411億円の費用から当期は157億円の利益へ転じました。費用が減っただけでなく、税金の項目が利益を増やす側に回っています。この動きが、税引前では減益なのに、最終利益では増益になる理由です。

一方、会社が示す基礎的収益は2,590億円から3,340億円へ増えました。資源では銅価格やアルミのマージン、貴金属取引が寄与し、輸送機・建機ではSumisho Air Leaseの貢献開始や建設機械事業の改善が進んでいます。税効果に加え、事業の改善も進みました。

デジタル・AIの利益は151億円から236億円へ伸び、SCSKの持分比率上昇や国内IT需要が寄与しました。自動車は前年の米国タイヤ事業売却益の反動があり、534億円から235億円へ減益です。成長した事業と、前年の売却益がなくなった事業が同時に存在します。

住友商事は2026年度から国内外のIPP・IWPPの資産回転損益を基礎的収益に含めています。会社の基礎的収益は、単に売却益をすべて取り除いた利益ではありません。

通期予想は6,300億円から6,700億円へ増額されました。会社は基礎的収益の見通しを引き上げる一方、300億円のバッファーを維持しています。下期は、買収した事業と既存事業がどこまで利益を生むかが焦点になります。

丸紅:前年の評価益を事業の増益で補った

丸紅の純利益は3,380.3億円で、前年から約325億円増えました。前年には国内不動産事業の統合に伴う税後765億円の評価益があったため、その反動を埋めてなお増益となった決算です。

会社が一過性要因を除いて示す実態純利益は、2,200億円から3,180億円へ約45%増えました。金属は522億円から894億円、エネルギー・化学品は39億円から418億円、電力・インフラサービスは372億円から582億円へ伸びています。

丸紅の実態純利益が2200億円から3180億円に増えた要因

実態純利益の増加980億円のうち、市況が470億円、為替が60億円の押し上げ要因でした。銅や原料炭、アルミなどの価格が利益を支えています。既存事業の改善370億円と成長投資の貢献190億円を合わせると560億円で、市況・為替の押し上げ額を上回ります。

持分法の投資先では銅・原料炭と航空機リース、連結事業では石油化学品取引や石油・天然ガス、電力の卸売・小売などが増益に寄与しました。前年の不動産評価益がなくなった穴を、複数の事業が補っています。

通期予想は5,800億円から6,300億円へ引き上げられ、実態純利益の予想も5,400億円から6,000億円へ増額されました。石油化学品取引やチリ銅事業などの改善が主な要因です。売却・評価益の額が変わる中でも、事業から得る利益の見通しが上がったことは前向きな変化です。

豊田通商と双日は何で伸びたのか

両社とも純利益が約40%増えましたが、伸びた事業も資金収支も異なります。豊田通商は資源・メモリ・自動車、双日は化学やインフラの貢献が目立ちます。

豊田通商:資源とメモリに自動車販売も加わる

豊田通商の純利益は2,620.3億円でした。資源関連のサーキュラーエコノミーが前年の188億円から576億円へ伸び、デジタルソリューションも160億円から349億円へ増加しています。資源とメモリの市況上昇が、上期の大きな増益要因になりました。

アフリカの利益は463億円から649億円へ増えました。各地域の自動車販売台数が増加したことが主因です。モビリティも豪亜・欧州などで販売が増え、利益は304億円から389億円へ伸びています。

サプライチェーンは北米を中心とする自動車生産関連の取扱増で357億円の利益となりました。一方、グリーンインフラは海外発電事業体の一過性損益や国内発電量の減少で、154億円から7億円へ減益です。好調な自動車・資源と、減益となった発電事業で差が出ました。

会社の分析では、税後利益に対する為替の押し上げは151億円です。一過性損益は前年のプラス5億円からマイナス15億円へ変わっており、全社の増益を大きな売却益で作った決算ではありません。資源・メモリ市況と、自動車の販売・取扱量がそろって利益に効きました。

通期純利益予想4,300億円は、7月の上方修正後の数字を維持しました。営業活動に係る利益の予想は6,300億円から6,400億円へ引き上げましたが、純利益は下期の不透明感を踏まえて据え置いています。進捗率60.9%の高さに対し、会社は最終利益の見通しには慎重さを残しています。

双日:化学が成長、7〜9月は一過性利益も寄与

双日の純利益は635.9億円で約40%増えました。化学の利益が105.8億円から201.1億円へ増え、メタノール市況、日本エイアンドエルの利益貢献、国内外トレードの堅調な推移などが寄与しています。

エネルギー・総合インフラは79.0億円から140.7億円へ増益でした。豪州インフラ開発事業の新規連結、米国エネルギーソリューション関連取引の拡大に加え、一部事業の売却益も含まれます。リテール・コンシューマーサービスも煙草取引やベトナムの業務用食品卸などが好調で、利益が増えました。

一方、自動車は豪州中古車事業の不調や構造改革費用、航空・交通インフラは前年の貨車リース事業の一部売却益の反動などで減益です。新しく利益を生む事業と、立て直しに費用がかかる事業が混在しています。

7〜9月の純利益は333.7億円と、4〜6月の302.2億円を上回りました。ただし、会社が示す基礎的収益力は401億円から370億円へ減っています。主な一過性損益が4〜6月のマイナス8億円から7〜9月のプラス65億円へ変わったことが、純利益を支えました。

上期全体では基礎的収益力が前年の466億円から771億円へ伸びています。その改善を、7〜9月以降も続けられるかが問われます。通期純利益予想は1,300億円のままで、進捗率は48.9%です。

通期予想と株主還元の変更

上期決算で純利益予想を増額したのは、三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅の4社でした。豊田通商は7月の上方修正を維持し、伊藤忠商事と双日は期首の見通しを維持しています。

期首から最新公表までの通期純利益予想の変化

最新予想から逆算した下期の利益

最新の通期純利益予想に対する上期の進捗率
通期純利益予想と達成に必要な下期利益
会社 期首予想 1Q時点 最新予想 必要下期利益
三菱商事 11,000 11,000 12,000 5,803.0
伊藤忠商事 9,500 9,500 9,500 3,695.3
三井物産 9,200 9,200 10,500 4,751.4
住友商事 6,300 6,300 6,700 3,221.4
丸紅 5,800 5,800 6,300 2,919.7
豊田通商 4,000 4,300 4,300 1,679.7
双日 1,300 1,300 1,300 664.1

単位:億円。必要下期利益=最新通期予想−上期実績。会社が公表する下期予想とは別の計算値です。

三菱商事は通期予想を1,000億円増額したため、最新予想への進捗率は51.6%です。上期利益が急増していても、増額後の目標に対しては下期にも約5,803億円が必要になります。三井物産も1,300億円の上方修正で、最新予想への進捗率は54.7%となりました。

伊藤忠商事と豊田通商は通期予想を据え置いたため、進捗率は約61%です。逆算される下期利益は上期より小さくなりますが、この差をそのまま上方修正の余地とはみなせません。上期に確定した売却益や税効果、下期の価格・販売環境が、残る利益を左右します。

双日は最新予想の達成に下期約664億円が必要で、上期の約636億円を上回ります。化学などの伸びが続くかに加え、自動車をはじめとする構造改革対象事業の損益が改善するかが、通期目標へ届くうえで大きな意味を持ちます。

増配と自己株式取得の発表時点

年間配当予想の変化
会社 前年年間 1Q時点の予想 最新予想
三菱商事 110円 125円 125円
伊藤忠商事 42円 44円 44円
三井物産 115円 140円 140円
住友商事 37.5円 40円 44円
丸紅 107.5円 115円 125円
豊田通商 120円 125円 125円
双日 165円 180円 180円

配当は1株当たり円、年間予想。前年配当は現在の株式数に換算(住友商事は1対4、伊藤忠商事は1対5の分割を調整)。取得枠と実際の買付額は異なります。

今回の増配は住友商事と丸紅です。住友商事は年間配当予想を40円から44円へ、丸紅は115円から125円へ引き上げました。他の5社は、直近に公表していた年間予想を維持しています。

三菱商事は11月4日に新たな1兆円の自己株式取得枠を公表しました。期間は2026年11月5日から2027年7月31日までと年度をまたぎます。今期中に1兆円すべてを使うという意味ではありません。

三井物産の2,000億円枠、伊藤忠商事の3,000億円の取得方針、丸紅の計1,450億円は、今回初めて発表された枠ではありません。住友商事の800億円は5月公表分を9月に取得完了し、豊田通商の約6,636億円の取得も実施済みです。決算の見出しに大きな金額が並んでも、新しい追加還元か、以前の計画の進捗かによって意味は変わります。

増益でも現金収支が改善したとは限らない

上期の利益が増えた7社のうち、営業キャッシュフローも前年を上回ったのは三菱商事と丸紅でした。資源や商品価格の上昇で利益が増えても、仕入れや在庫、税金の支払いで資金が先に出る場合があります。

各社の連結営業キャッシュフローの比較

在庫・売掛金・税金で資金が出た会社

連結営業キャッシュフロー
会社 前年上期 当期上期 増減額
三菱商事 4,280.3 9,912.8 +5,632.5
伊藤忠商事 6,092.5 2,931.8 -3,160.7
三井物産 4,287.1 2,234.0 -2,053.1
住友商事 2,621.6 1,305.1 -1,316.5
丸紅 2,114.1 2,646.7 +532.6
豊田通商 1,404.5 -29.1 -1,433.6
双日 313.4 88.8 -224.6

2026年4〜9月、億円。各社の連結キャッシュフロー計算書にある営業活動によるCF。独自の調整後CFは含めていません。利息・配当の区分など各社の会計方針は異なります。

豊田通商は純利益2,620億円に対し、営業キャッシュフローがマイナス29億円でした。営業債権と在庫が増え、法人所得税の支払額も約1,932億円となっています。好調な取引で利益が生まれても、決算日までにその利益が現金として残るとは限りません。

三井物産の営業キャッシュフローは4,287億円から2,234億円へ減少しました。一方、運転資本の増減などを調整した会社独自の基礎営業キャッシュフローは4,485億円から5,116億円へ増えています。利益を生む事業の収支と、在庫や債権にいったん必要になった資金の方向が異なった決算です。

双日も営業キャッシュフローは89億円ですが、運転資金増減等を調整した基礎的営業キャッシュフローは803億円です。伊藤忠商事は連結営業キャッシュフローが2,932億円、実質営業キャッシュフローが4,750億円でした。この基礎的営業キャッシュフローと実質営業キャッシュフローは、運転資金などを調整した会社独自の指標で、連結営業キャッシュフローとは金額が異なります。

投資と還元を支える回収力

三菱商事の営業キャッシュフローは9,913億円へ増えましたが、米国シェールガス事業の取得などで投資キャッシュフローは約1兆1,280億円の支出でした。上期は営業から入った資金以上に投資を行っており、これから自己株式取得も進みます。

住友商事もSumisho Air LeaseやSCSKなどの投資を進め、連結投資キャッシュフローは約4,491億円の支出でした。会社が示すネットDERは期末0.68倍から上期末0.81倍へ上昇しています。買収後の利益貢献に加え、事業の回収や資産入替がどの時期に現金へ変わるかも、下期の財務を左右します。

丸紅は営業キャッシュフローが2,647億円に増え、投資キャッシュフローの支出2,563億円をおおむね賄いました。営業と投資の差額は約84億円のプラスです。このほかに、配当や自己株式取得への資金が必要になります。

事業の売却は、その期の利益と現金収入を同時に変えることもあれば、時期がずれることもあります。売却益、減損、再評価が決算へどう表れるかは、資産入替の記事でも説明しています。

下期は、各社が上期に増やした利益をどこから再び生むかに注目したいところです。三井物産はLNGトレーディング、住友商事は取得した事業の貢献、豊田通商は資源・メモリ・自動車の市況や取扱量が具体的な確認対象になります。利益予想の達成とともに、増えた在庫や債権が現金へ戻るかまで追うと、今回の好決算が次の投資へつながるかを判断しやすくなります。