総合商社の年収はいくら?7社の平均年収・初任給を比較【2026年版】

総合商社の年収はいくら?7社の平均年収・初任給を比較【2026年版】のアイキャッチ画像

総合商社の年収は、2026年3月期の有価証券報告書によると、7社の提出会社単体で約1,260万円から約2,110万円です。最も高い三菱商事は約2,110万円、次いで三井物産が約2,060万円、伊藤忠商事が約1,990万円でした。ただし、これは平均年齢40〜43歳の従業員について、賞与や時間外勤務手当などを含めて算定した平均年間給与です。新入社員の給与でも、連結子会社を含む全従業員の平均でもありません。

一方、2027年度入社向けの学卒初任給は月額30万5,000円から36万円、院卒は34万円から40万円です。対象は三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅、豊田通商、双日の7社です。資料の確認基準日は2026年9月9日です。

総合商社7社の平均年収と初任給を比較

最初に結論を一覧にします。平均年間給与は各社の2026年3月期有価証券報告書、初任給は2027年度入社向けの公式募集要項を原則として使いました。職種区分がある会社は、転居や海外勤務を伴う総合職・グローバル職に相当する区分を比較しています。

会社平均年間給与学卒初任給院卒初任給
三菱商事約2,110万円35.0万円38.5万円
三井物産約2,060万円34.0万円37.5万円
伊藤忠商事約1,990万円36.0万円40.0万円
住友商事約1,840万円33.5万円37.5万円
丸紅約1,780万円35.0万円38.5万円
豊田通商約1,420万円33.0万円35.0万円
双日約1,260万円30.5万円34.0万円

平均年間給与は2025年度の実績、初任給は2027年度入社向けです。平均年間給与は有価証券報告書の原数値を10万円単位に四捨五入しています。対象期間は2025年4月1日〜2026年3月31日、基準日は原則2026年3月31日。初任給は月額で、三菱商事は総合職、三井物産はGlobal、伊藤忠商事は総合職、住友商事はプロフェッショナル職、丸紅はオープン採用、豊田通商はグローバル職、双日は総合職を掲載。確認日:2026年9月9日。

平均年間給与は在籍者の年齢構成と賞与を含む年間平均、初任給は新卒区分別の入社時月額であり、同じ尺度で比較しない考え方

平均年間給与の順位と初任給の順位は一致しません。平均年間給与では三菱商事が首位ですが、学卒・院卒の初任給では伊藤忠商事が最も高くなっています。平均年間給与には管理職を含む年齢構成、賞与、在籍者の職責が反映されるのに対し、初任給は入社時点の月例給与だからです。両者をつなげて「初任給が高い会社ほど将来も必ず高年収になる」と判断することはできません。

平均年間給与の定義と比較上の注意点

一般に「平均年収」と呼ばれる数字は、有価証券報告書の「平均年間給与」です。上場会社が提出会社の従業員について開示する平均値で、各社の注記によれば賞与を含みます。三菱商事は超過勤務手当と賞与、三井物産は賞与と超過勤務手当、伊藤忠商事は賞与と従業員持株会制度の特別奨励金、住友商事は賞与・時間外勤務手当・在宅勤務手当、丸紅は賞与と基準外賃金、豊田通商は賞与と基準外賃金、双日は賞与・超過勤務手当・基準外給与を含めています。

この注記から分かるのは、比較可能性は高いものの、算入範囲が完全に同一ではないことです。特に伊藤忠商事の持株会特別奨励金や住友商事の在宅勤務手当など、会社固有の項目があります。賞与も会社業績と個人評価によって変わるため、2026年3月期の平均年間給与は、今後毎年同じ金額が支払われることを保証する数字ではありません。

さらに重要なのは、7社とも連結グループ全体の平均ではない点です。たとえば伊藤忠商事の2026年3月末の連結従業員は11万人を超えますが、平均年間給与の欄は提出会社の従業員4,125人を基礎にしています。小売、IT、物流、製造などの子会社には別の給与制度があります。「伊藤忠グループで働く全員の平均が約1,990万円」という意味ではありません。

総合商社の平均年間給与は連結グループ全体ではなく提出会社の従業員を対象とし、賞与や手当、対象者の扱いも注記で異なることを示す図

出向者、嘱託、海外現地社員の扱いにも差があります。住友商事の平均年間給与約1,840万円には嘱託を含み、同社は嘱託を除いた場合の平均を約1,890万円と併記しています。豊田通商は海外現地社員92人を平均年齢・勤続・給与の計算から除いています。順位を見る前に、数万円単位の差より算定対象の違いを意識する必要があります。

総合商社の平均年収ランキング

順位会社平均年間給与平均年齢平均勤続
1三菱商事約2,110万円42.3歳17年7か月
2三井物産約2,060万円42.0歳17.4年
3伊藤忠商事約1,990万円42.0歳17年9か月
4住友商事約1,840万円43.3歳18年3か月
5丸紅約1,780万円42.5歳17.8年
6豊田通商約1,420万円43.0歳16.7年
7双日約1,260万円40.5歳14.7年

対象は2026年3月期、提出会社単体。表示額は原数値を10万円単位に四捨五入。

上位3社は約1,990万〜2,110万円で、三菱商事と三井物産は2,000万円を超えました。4位の住友商事と5位の丸紅も1,700万円台後半から1,800万円台です。一方、豊田通商と双日は上位5社より低いものの、これは7社内の相対比較です。給与水準だけでなく、平均年齢、従業員構成、職種制度、会社業績による賞与の違いを含んだ結果と読むべきです。

学卒・院卒の初任給を比較

初任給は、平均年間給与より新卒社員の入社直後を比較しやすい数字です。ただし、職種と転勤範囲をそろえる必要があります。三井物産にはGlobalとRegional、豊田通商にはグローバル職と地域限定職、伊藤忠商事や双日には別職種の募集があります。本記事は7社で比較可能性が高い総合職・グローバル職相当を採用しています。

順位会社学卒院卒
1伊藤忠商事360,000円400,000円
2三菱商事350,000円385,000円
2丸紅350,000円385,000円
4三井物産340,000円375,000円
5住友商事335,000円375,000円
6豊田通商330,000円350,000円
7双日305,000円340,000円

2027年度入社向けの初任給です。三菱商事は総合職、三井物産はGlobal、伊藤忠商事は総合職、住友商事はプロフェッショナル職、丸紅はオープン採用、豊田通商はグローバル職、双日は総合職。伊藤忠商事は試用期間中に別額の設定あり。各社とも時間外勤務手当を固定残業代として含むとの記載は確認されず、募集要項上は別途支給または時間外労働ありとされています。確認日:2026年9月9日。

学卒初任給では伊藤忠商事が36万円、三菱商事と丸紅が35万円です。院卒では伊藤忠商事が40万円に達します。もっとも、月給を12倍した金額は初年度の年収ではありません。賞与の支給時期と算定期間、入社月、時間外勤務、手当によって初年度の総支給額は変わります。公式資料が年収モデルを示していない限り、初任給だけから初年度年収を断定するのは避けるべきです。

伊藤忠商事の総合職は試用期間3か月について学卒34万円、院卒37万5,000円と本採用後とは別額です。豊田通商は2025年7月1日現在の初任給を掲載しています。募集要項は採用年度の途中でも更新される可能性があるため、応募時には必ず各社公式ページを再確認してください。

会社別に確認する年収と初任給

三菱商事

三菱商事の2026年3月期平均年間給与は約2,110万円で、7社中1位です。平均年齢は42.3歳、平均勤続年数は17年7か月でした。同社の有価証券報告書は、平均年間給与に超過勤務手当と賞与を含むと明記しています。したがって、月例給を単純に12倍した数字ではなく、会社業績や評価を反映する賞与を含む年間平均です。

2027年度入社の総合職初任給は学士卒35万円、修士卒38万5,000円です。三菱商事は2027年度入社からバックオフィス職の採用も実施しており、職種ごとに処遇が異なります。本記事の比較は総合職を使っています。平均年収首位という事実から、若手の年収カーブや配属後の手当まで一律に高いとまでは判断できません。

同社は2025年度有価証券報告書で従業員報酬を基本給、職務給、個人成績賞与、業績連動賞与などの組み合わせとして説明しています。ここから読み取れるのは、全社業績だけでなく、職務の難易度や個人の貢献が処遇差につながる設計です。

三菱商事については、平均年間給与2,112万5,472円の定義、過去5年の推移、総合職とバックオフィス職の初任給の違いを個別記事で詳しく解説しています。

三井物産

三井物産の平均年間給与は約2,060万円で2位、平均年齢42.0歳、平均勤続17.4年です。平均には賞与と超過勤務手当を含みます。2027年度入社のGlobal初任給は学卒34万円、院卒37万5,000円です。勤務地を一定地域に限定するRegionalは学卒33万円、院卒36万5,000円であり、働く範囲と処遇が分かれています。

総合商社では海外駐在、事業会社出向、プロジェクト現場など勤務地の幅が大きく、同じ会社でも実際の総支給額に差が生じます。三井物産の平均年間給与は本体従業員の平均であり、海外手当の受給者だけを示すものでもありません。採用上の職種区分を無視して初任給を一つだけ掲載すると、地域限定で働く場合との差が見えなくなる点に注意が必要です。

初任給と職種条件は三井物産「募集要項」で確認できます。同社は人事の考え方として「Pay for Performance」を明示しており、役割や成果を処遇へ反映する方針です。金額の差だけでなく、Global・Regionalによる勤務地範囲やキャリア選択の違いも合わせて読む必要があります。

伊藤忠商事

伊藤忠商事の平均年間給与は約1,990万円で3位です。平均年齢は42.0歳、平均勤続は17年9か月でした。注記上、賞与に加えて従業員持株会制度の特別奨励金を含み、休職者と定年後再雇用などの有期雇用従業員を除いて算定しています。この独自項目があるため、細かな金額差をそのまま優劣として読むのは適切ではありません。

2027年度入社の総合職初任給は学卒36万円、院卒40万円で、今回比較した7社では最も高い水準です。ただし試用期間3か月は学卒34万円、院卒37万5,000円です。伊藤忠商事にはBX職の募集区分もあり、初任給は総合職と異なります。公式の新卒採用「募集要項」で職種と試用期間を切り分けて確認する必要があります。

伊藤忠商事は非資源・川下事業の比重が大きいことで知られますが、「非資源だから給与が高い」と単純には説明できません。給与原資となる利益とキャッシュ創出力、従業員数、賞与設計、人材獲得競争などが複合して現在の水準を形づくっています。

住友商事

住友商事の平均年間給与は約1,840万円、平均年齢43.3歳、平均勤続18年3か月です。7社で平均年齢と勤続年数が長い一方、平均年間給与は4位でした。同社は嘱託を含む開示値に加え、嘱託を除く平均年間給与約1,890万円も示しています。比較表では法定開示の主表に記載された約1,840万円を採用しました。

住友商事は従来の基幹職・事務職という職掌を一本化し、現在はプロフェッショナル職として採用しています。2027年度入社の初任給は学卒33万5,000円、院了37万5,000円です。試用期間は3か月で、募集要項にはスーパーフレックスタイム制度と所定勤務時間も記載されています。旧来の職掌を前提にせず、現在の採用区分と処遇を確認する必要があります。

丸紅

丸紅の平均年間給与は約1,780万円、平均年齢42.5歳、平均勤続17.8年です。賞与と基準外賃金を含みます。2027年度入社のオープン採用初任給は学卒35万円、院卒38万5,000円で、学卒・院卒とも三菱商事と同額です。平均年間給与では5位でも、入社時点の月給では2位タイとなります。

丸紅の平均年間給与は2022年3月期から2026年3月期まで5年連続で上昇しました。一方、初任給の改定は新卒採用市場への対応を素早く反映しますが、全従業員の平均には既存社員の等級構成や賞与も反映されます。5年間の上昇実績と入社時の月額は別の指標であり、初任給の上昇だけから全世代の給与が同じ割合で上がったとはいえません。

豊田通商

豊田通商の平均年間給与は約1,420万円、平均年齢43.0歳、平均勤続16.7年です。賞与と基準外賃金を含み、海外現地社員92人を平均年齢、勤続年数、平均年間給与の算定から除いています。2027年度入社のグローバル職初任給は学卒33万円、大学院・6年制学部卒35万円です。

同社はグローバル職と地域限定職で担当可能業務と評価基準を共通化しつつ、転居を伴う異動の有無を分けています。2027年卒では地域限定職の募集予定がないと公式サイトに記載されています。本記事は採用のあるグローバル職を比較対象にしました。

豊田通商「グローバル職 募集要項」には、初任給のほか試用期間、勤務地、時間外勤務、平均残業時間も示されています。給与額だけではなく、モビリティ、アフリカ、サプライチェーンなど同社固有の配属領域と働き方を合わせて検討することが大切です。

双日

双日の平均年間給与は約1,260万円、平均年齢40.5歳、平均勤続14.7年です。7社では平均年齢と平均勤続が最も低く、平均年間給与にも年齢構成の差が影響している可能性があります。ただし、有価証券報告書だけから年齢別給与を算出することはできないため、年齢を補正した推計値を事実のように扱うべきではありません。

2027年度入社の総合職初任給は学卒30万5,000円、院卒34万円です。事務職は学卒・院卒とも23万900円で、職種によって差があります。本記事の比較は総合職を用いました。平均年間給与には賞与、超過勤務手当、基準外給与を含みます。

公式の双日「募集要項」では、総合職と事務職を区別して処遇を掲載しています。また、人材戦略では多様性を競争力へつなげる「KATI」を掲げています。会社名だけで初任給を検索した場合、職種差や人材制度の前提が省略されやすいため注意が必要です。

総合商社の年収が高い理由

各社の公式資料に共通するのは、総合商社本体がトレーディングに加え、投資審査、資金調達、契約、リスク管理、事業会社経営を担っていることです。有価証券報告書の平均年間給与は、この本体従業員を対象にした数字であり、小売店舗、工場、物流拠点など連結グループ全体の給与水準ではありません。

また、平均年間給与には賞与を含む会社が多く、年度ごとの業績や評価制度の影響を受けます。ただし、資源価格や資産売却益で連結純利益が増えたからといって、同じ割合で給与が増えるわけではありません。公式資料から確認できるのは各社の算定範囲と結果であり、利益と給与の因果を単純化しないことが大切です。

少人数の商社本体が世界の事業を動かし、大きな責任、多層の収益、人材獲得競争、資本配分の専門性が賞与原資につながる構造

また、利益額を単体従業員数で割って「一人当たりの稼ぐ力」とみなす比較にも注意が必要です。持分法適用会社や連結子会社の利益は、現地で働く多数の従業員や共同出資者が生み出した成果を含みます。本体社員だけで利益を生んだわけではありません。総合商社の高年収を説明する際は、利益規模だけでなく、グループを通じて資本と人材を配置する役割まで見る必要があります。

順位の先に確認したい条件

平均年間給与は信頼性の高い公式数字ですが、個人が受け取る給与の予測値ではありません。平均年齢42歳の集団には若手、管理職、専門職、海外勤務経験者などが含まれます。分布、中央値、年齢別平均、職位別報酬は通常開示されていないため、22歳の新卒社員が将来必ず平均額へ到達するとはいえません。

企業選びでは、基本給と賞与の比率、評価制度、海外・住宅・時間外などの手当、退職金、企業年金、勤務地、勤務時間も確認すべきです。初任給が同じでも、所定労働時間や賞与の算定が違えば年間の条件は変わります。可処分所得は勤務地の住宅費や福利厚生にも左右されます。

会社選びでは平均年収を入口に、基本給と評価、担う事業と職務、海外勤務や転勤、福利厚生と将来給付を合わせて判断する枠組み

平均年間給与の首位は三菱商事、初任給の首位は伊藤忠商事で、二つの順位は一致しません。前者には40歳前後の人員構成や賞与、会社ごとの算定範囲が反映され、後者は特定の採用区分における入社時の月例給与だからです。

比較するときは、平均年間給与を個人の予測年収ではなく、提出会社単体の処遇水準を示す統計として扱います。そのうえで、応募する職種の初任給、勤務地、賞与、勤務時間を公式募集要項で確認すれば、順位だけでは見えない条件差を把握できます。