7大総合商社の採用人数を比較|新卒・キャリア採用の5年推移と人員構成【2026年版】

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総合商社の採用は、新卒一括採用だけでは捉えにくくなっています。三井物産では直近5期の採用者の3〜4割をキャリア入社者が占め、住友商事も2022年度以降にキャリア採用を大きく増やしました。一方、伊藤忠商事はキャリア採用を増やしながらも、新卒の比重を高く保っています。

この記事では、三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅、豊田通商、双日の公式採用サイト、人的資本・ESGデータ、有価証券報告書、統合報告書を確認し、新卒・キャリア採用の実績と人員構成を整理します。会社が継続開示していない大学別採用人数は扱いません。確認できない数字を補わず、期間と分母が分かるデータだけを掲載します。

比較条件

本記事の「新卒採用」は、原則として各社本体へ新卒区分で入社した人数です。「キャリア採用」は、他社などで職務経験を積んだ後に入社した人数を指します。退職者数や、社員が別の会社へ転職した人数ではありません。

採用データには、年度、3月期、入社年、採用サイト上の年表示が混在します。たとえば「2025年度」が2025年4月入社者を表す資料もあれば、2025年4月から2026年3月までの入社者を表す資料もあります。以下の表では、各社が使う期間表記をそのまま残します。

キャリア比率にも二つの分母があります。当年度の全採用者に占める割合と、在籍社員に占めるキャリア入社者の割合です。本記事の「キャリア採用比率」は、特記がない限り、当年度の新卒とキャリア採用の合計を分母にして算出しています。

総合商社の人事戦略を、採用の入口、職種と勤務地、配置と登用の三段階に分けて読む枠組み

最新の採用人数

会社期間新卒キャリアキャリア比率
三菱商事FY2025139人69人33.2%
三井物産2026年3月期142人67人32.1%
伊藤忠商事FY2025153人26人14.5%
丸紅2026年3月期104人32人23.5%
住友商事FY202498人64人39.5%
豊田通商採用サイト表記202572人86人54.4%
双日FY2025153人19人11.0%

単位:人。キャリア比率は、キャリア採用数÷(新卒採用数+キャリア採用数)で算出。住友商事は他社より一年度古く、豊田通商は採用サイト上の年定義が明記されていません。厳密な同一期間ランキングではありません。

各社が公表する最新値では、豊田通商、住友商事、三菱商事、三井物産でキャリア採用が3割を超えています。ただし、豊田通商の数値は採用サイト上の表示であり、住友商事はFY2024です。比率だけを切り出して「キャリア採用に最も積極的な会社」と順位付けするのは適切ではありません。

三菱商事のキャリア採用は、Human Capital Report 2026で69人、有価証券報告書で68人です。人的資本レポートの69人は総合職43人、バックオフィス職26人に分かれます。1人の差は集計時点または対象範囲の違いと考えられるため、どちらかへ無言で統一していません。

キャリア採用の開示は入社人数、全採用者に占める構成、正社員全体に占める構成で分母が異なり、直接比較できないことを示す図

5年間の採用推移

新卒とキャリアを同じ資料系列で追える会社について、2021年から2026年までを横軸に並べます。「—」は、今回確認した一次資料に対応する実数がない年です。

新卒採用の推移

会社基準202120222023202420252026
三菱商事年度127123120127139
三井物産3月期128111124129142
伊藤忠商事年度116107135155153
丸紅3月期12412311477104
住友商事年度10610110098
双日年度8690106124153

単位:人。年度と3月期は各社の公表表記を維持しています。豊田通商は2023〜2025年の3点のみで年の定義も明記されていないため、6年表から除外しました。

新卒採用は、キャリア採用の拡大と引き換えに一律で縮小しているわけではありません。伊藤忠商事、三井物産、双日の直近値は140〜150人台です。双日はFY2021の86人からFY2025の153人へ増えましたが、同社の新卒人数には事務職が含まれます。

三菱商事は2026年度入社式の公式発表で新卒130人を公表していますが、これは特定の4月入社者です。年度実績の系列とは定義が異なるため、2026年欄には接続していません。

キャリア採用の推移

会社基準202120222023202420252026
三井物産3月期6392859167
伊藤忠商事年度214242726
丸紅3月期3834434732
住友商事年度20758864
双日年度3540464219

単位:人。丸紅の2022・2023年3月期は、同じ公式表の全採用人数から新卒人数を差し引いて算出。三菱商事と豊田通商は連続した公表値が3年分に限られるため、この表から除外しました。

三井物産の人事データブックでは、5期連続で採用全体の32.1〜45.3%をキャリア入社者が占めます。人数が毎年増えているわけではありませんが、外部採用が一時的な補充ではなく、継続した採用経路になっていることは確認できます。

住友商事はFY2021の20人からFY2023の88人へ増え、FY2024は64人でした。同社の公式記事も、FY2023のキャリア採用88人と全採用に占める47%を説明しています。対して伊藤忠商事はFY2025でも26人、比率14.5%で、新卒中心の構成を維持しています。

総合商社の採用人数推移は、年度表記、職種範囲、実績値の定義をそろえて会社内で追い、他社の増減率へ直接結び付けないことを示す図

職種(キャリア・総合職/一般職・事務職)

一般職が残っているかだけでは、現在の総合商社の職種制度を説明できません。職掌を一本化した会社、勤務地の違いを残す会社、事務系職種を専門職として再定義した会社に分かれています。

会社新卒の主な区分・制度変更確認できる事実
三菱商事総合職中心。バックオフィス職を再開予定キャリアではバックオフィス職を採用。2027年入社から新卒採用も8年ぶりに再開
三井物産旧担当職・業務職を一本化入社時の旧来型職掌で職務範囲を固定しない制度へ移行
伊藤忠商事総合職・BX職旧事務職を2025年4月からビジネスエキスパート職へ改称
丸紅職掌区分を廃止2024年に総合職・一般職の区分を廃止
住友商事職掌を一本化2022年にコース別人事管理を廃止
豊田通商グローバル職・地域限定職2017年に担当職・業務職を廃止し、職務範囲と等級を統一
双日総合職・事務職新卒採用で事務職を独立区分として継続

制度名と変更時期は各社の公式採用情報、人的資本資料、統合報告書によるものです。名称だけで業務範囲や昇進可能性を判断せず、各社の募集要項と制度説明を確認する必要があります。

総合商社の職種区分について、従来の補助と基幹の区分から、職掌一本化、勤務地のみの区別、専門性による役割再定義へ変わる方向を比較した図

伊藤忠商事は一般職系の区分を廃止せず、BX職として役割を再定義しました。統合レポート2025の人材戦略では、DXや内部管理の高度化を背景に、BX職を高い専門性を生かす組織運営の担い手として説明しています。

豊田通商は2017年に担当職・業務職を廃止し、グローバル職と地域限定職へ再編しました。制度改定の公式発表では、両職種の職務範囲と職能資格等級を統一し、主な違いを転勤範囲に置いています。丸紅と住友商事も職掌を一本化しており、「一般職がなくなった=事務業務がなくなった」という意味ではありません。

双日は総合職と事務職を分けて採用しています。制度が従来型に見えることだけで良し悪しは判断できません。比較すべきなのは、募集職種ごとの業務範囲、勤務地、配置、登用の仕組みです。

人員構成

採用数が組織全体へ反映されるまでには時間がかかります。最新の単体・連結従業員数と、女性社員・女性管理職の比率を並べます。

会社単体従業員連結従業員女性社員女性管理職主な時点
三菱商事4,456人63,037人25.8%13.1%人員2026年3月、女性管理職2026年4月
三井物産5,333人55,463人30.7%12.0%2026年3月
伊藤忠商事4,125人114,570人26.0%10.1%2026年3月
丸紅4,225人52,658人30.5%10.4%2026年3月
住友商事5,056人82,488人27.0%10.4%人員2026年3月、女性KPIは2025年3〜4月
豊田通商3,260人74,927人29.3%9.5%人員・管理職2026年3月、女性社員はHCR2025
双日2,519人26,789人34.2%7.4%2026年3月

単体従業員数の定義は各社で異なります。三菱商事の会社概要4,456人と有価証券報告書5,328人は、嘱託・契約社員、受入出向者、海外店現地社員などの扱いが異なります。三井物産の5,333人も単体総合職で、契約等を含むフルタイムは5,894人です。

社員規模と女性管理職

連結従業員数は、伊藤忠商事が114,570人、住友商事が82,488人、豊田通商が74,927人です。ただし、連結範囲やグループ事業の構成が異なるため、本体の採用人数と単純に割って比較することはできません。

女性社員比率は確認できる最新値で25.8〜34.2%、女性管理職比率は7.4〜13.1%です。採用時の女性比率と管理職構成には時間差があります。女性採用者の多さだけで登用状況を判断せず、管理職比率や目標の進捗を別に見る必要があります。

データから確認できる傾向

第一に、三井物産、三菱商事、住友商事、丸紅では、キャリア採用が例外的な補充ではなく継続的な採用経路になっています。特に三井物産は、5期連続で採用全体の3割以上をキャリア入社者が占めます。

第二に、キャリア採用は毎年増え続けてはいません。直近値では三菱商事が94人から69人、三井物産が91人から67人、丸紅が47人から32人、双日が42人から19人へ減りました。ポジションや事業ニーズに連動する採用であり、単年の減少を方針転換と決めつけることはできません。

第三に、新卒採用も縮小一辺倒ではありません。伊藤忠商事、三井物産、双日は直近で140〜150人台を採用しています。実態は「新卒をキャリアへ置き換える」より、新卒育成を続けながら必要な専門性を外部から加える形です。

一方、採用人数から選考倍率、入社難易度、特定大学の有利不利は分かりません。共通定義の応募者数がなく、職種や採用地域も異なるためです。大学別採用人数も7社共通の一次データがないため、この記事では掲載していません。

採用後の仕事を理解するには、人数だけでなく、トレーディング、事業投資、事業会社経営の違いも確認する必要があります。

採用規模と処遇は別の検索意図です。平均年収や初任給を比較する場合は、各社の算定範囲をそろえた比較記事で確認できます。

主な出典