三菱商事の年収は、2026年3月期の有価証券報告書によると平均2,112万5,472円です。平均年齢は42.3歳で、平均年間給与には超過勤務手当と賞与が含まれます。7大総合商社のなかでも高い水準ですが、これは新卒社員が入社直後から2,000万円を受け取るという意味ではありません。本記事では、平均年収の定義、過去5年の推移、2026年度実績の初任給を公式資料だけで整理し、なぜ給与水準が高いのか、数字を比較するときに何へ注意すべきかを解説します。数値と採用条件は2026年9月13日時点で確認できる公開情報に基づきます。
三菱商事の平均年収
結論からいえば、三菱商事が2026年6月に提出した2025年度有価証券報告書に記載する平均年間給与は2,112万5,472円です。対象は三菱商事の提出会社単体の従業員で、連結子会社の従業員を含む平均ではありません。
| 項目 | 2026年3月末時点 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 2,112万5,472円 |
| 平均年齢 | 42.3歳 |
| 平均勤続年数 | 17年7か月 |
| 従業員数 | 5,328人 |
出典:三菱商事「2025年度有価証券報告書」。対象年度は2025年4月1日から2026年3月31日まで。平均年間給与は超過勤務手当および賞与を含みます。
「平均年収」と検索されることが多いため本記事でもその表現を使いますが、法定開示の正式な項目名は「平均年間給与」です。この2,112万円という数字には月例給与だけでなく、超過勤務手当と賞与が入っています。給与制度や業績連動賞与の影響を受けるため、毎年一定の固定額ではありません。
また、従業員数5,328人と実際の就業人員数4,456人にも違いがあります。有価証券報告書によれば、前者には顧問・嘱託103人、他社からの出向者128人、海外店現地社員541人を含み、他社への出向者1,644人を除いた就業人員数が後者です。平均年間給与の読み方を正確にするには、単に金額を見るだけでなく、誰を数えた統計なのかまで確認する必要があります。
平均年間給与の5年推移
三菱商事の平均年間給与は、2022年3月期の1,558万8,893円から2026年3月期の2,112万5,472円へ増えました。ただし、一直線に上昇したわけではありません。2025年3月期には前年度からいったん低下しており、賞与や各年度の人員構成が平均値を動かすことが分かります。
| 対象年度 | 平均年間給与 | 平均年齢 | 平均勤続年数 |
|---|---|---|---|
| 2022年3月期 | 1,558万8,893円 | 42.8歳 | 18年6か月 |
| 2023年3月期 | 1,939万3,985円 | 42.9歳 | 18年6か月 |
| 2024年3月期 | 2,090万9,825円 | 42.7歳 | 18年3か月 |
| 2025年3月期 | 2,033万3,662円 | 42.4歳 | 17年10か月 |
| 2026年3月期 | 2,112万5,472円 | 42.3歳 | 17年7か月 |
出典:三菱商事の過去の有価証券報告書および2025年度有価証券報告書。各年度末の提出会社単体の開示値です。
2022年3月期から2026年3月期までの4年間で、平均年間給与は約553万7,000円、率にして約35.5%増えました。一方、平均年齢は42.8歳から42.3歳へ、平均勤続年数は18年6か月から17年7か月へ低下しています。平均年齢が上がったため平均給与が増えただけ、とは説明できません。
事実として確認できるのは、賞与を含む平均年間給与が増えたことです。そこから考えられる背景には、全社の報酬制度、賞与水準、人員構成などがあります。ただし、連結純利益と平均給与が毎年同じ方向へ動くとは限りません。資源価格や資産売却益で純利益が増えても、その全額が直ちに従業員の賞与へ反映されるわけではなく、反対に単年度の減益だけで報酬制度全体が変わるわけでもないからです。
したがって、推移表は「三菱商事の給与水準が中期的に上がっている」ことを確認する材料にはなりますが、特定年度の増減理由を利益だけで断定する材料にはなりません。より細かく見るには、各年度の有価証券報告書にある人的資本の説明や賞与制度、従業員構成の変化も合わせて読む必要があります。
賞与と超過勤務手当を含む
三菱商事は有価証券報告書の注記で、平均年間給与に超過勤務手当および賞与を含むと明記しています。この定義は重要です。2,112万5,472円を12で割った約176万円が、そのまま平均的な月例基本給になるわけではありません。
給与は一般に、毎月支払われる基本給や職務に応じた給与、時間外勤務に伴う手当、賞与などで構成されます。三菱商事の最新有価証券報告書は、人事制度の説明において、職責や職務価値、個人の成果、全社業績など複数の要素と報酬を結び付けています。つまり、同じ会社の正社員でも役割、等級、評価、勤務状況によって年間の支給額は異なります。
平均値には、若手、中堅、管理職など幅広い層が含まれます。平均年齢42.3歳、平均勤続17年7か月という構成を考えると、管理職や長期勤続者の給与も平均を押し上げています。新卒採用の候補者が平均年間給与を自分の初年度年収として受け止めるのは適切ではありません。
一方で、「平均なので実態を何も示さない」と切り捨てるのも違います。同じ法定開示に基づき、対象年度と算定範囲をそろえれば、本体従業員に対してどの程度の給与原資を配分しているかを把握できます。大切なのは、平均値を個人の将来年収へ直線的に置き換えず、企業間比較と長期推移の指標として使うことです。
平均年間給与には、海外勤務者だけを集計した金額、特定の営業グループだけを集計した金額といった内訳もありません。LNGや金属資源を担当する社員と、食品、モビリティ、コーポレート部門を担当する社員を分けた平均は公開されていないため、「資源部門だから平均より高い」といった説明は公式資料からは確認できません。部門別の収益性と個人の給与を直接結び付けないことが重要です。
なお、平均年間給与は手取り額でもありません。所得税、住民税、社会保険料などを差し引く前の給与であり、家族構成や控除によって実際の手取りは変わります。額面の平均をそのまま生活費へ置き換えるのではなく、制度上の開示値として理解する必要があります。
総合職とバックオフィス職の初任給
三菱商事の新卒採用「募集要項」では、2026年度実績として総合職の学士卒が月35万円、修士卒が月38万5,000円と示されています。バックオフィス職は学士卒・修士卒とも月26万円です。職種によって金額が異なるため、「三菱商事の初任給」を一つの数字だけで表すと誤解が生じます。
| 採用区分 | 学士卒 | 修士卒 |
|---|---|---|
| 総合職 | 月35万円 | 月38万5,000円 |
| バックオフィス職 | 月26万円 | 月26万円 |
出典:三菱商事「募集要項」。2026年度実績。2026年9月13日時点で公開されている2028年度入社向け募集要項を確認しています。
同じ募集要項では、賞与は年2回、6月と12月です。総合職の月例初任給を単純に12倍すると、学士卒は420万円、修士卒は462万円になりますが、これは初年度年収ではありません。賞与の算定期間、入社時期、時間外勤務、各種手当によって実際の年間支給額は変わるためです。公式資料が標準的な初年度年収を示していない以上、月額から推定した数字を確定値として扱うべきではありません。
なお、募集要項は採用年度や選考区分に応じて更新されます。現在掲載されている国内採用条件と、将来応募する年度の条件が同じとは限りません。応募時には、採用サイトの募集職種、給与、勤務地、試用期間を改めて確認する必要があります。
三菱商事の報酬制度
三菱商事の有価証券報告書は、職務・職責や成果を処遇へ反映する人事制度を説明しています。ここから確認できるのは、平均年間給与が全社員へ一律に支払われる固定額ではないことです。一方、LNGや金属資源など特定部門の平均年収は開示されていません。事業の利益率を個人給与へ直接結び付けることはできません。
三菱商事本体は投資審査、資金設計、契約、リスク管理、事業会社のガバナンスなどを担います。ただし、その仕事の規模が給与をいくら押し上げたかを示す公式な分解表はありません。給与水準の背景を考える際は、会社が開示する報酬方針と、実際の平均年間給与の推移を分けて読む必要があります。
事業ポートフォリオと資本配分の特徴は、三菱商事の強みを扱う記事で詳しく整理しています。
平均値で分かること
有価証券報告書には、年齢別、役職別、職種別の平均年収は掲載されていません。そのため、「30歳なら何万円」「課長なら何万円」といった数字を公式値として示すことはできません。転職口コミや匿名投稿には個別事例がありますが、母集団、年度、職種、海外手当の有無がそろわず、全社員へ一般化するには限界があります。
さらに、三菱商事本体とグループ会社を区別する必要があります。連結従業員数は2026年3月末時点で6万3,037人ですが、平均年間給与2,112万5,472円は提出会社単体の開示です。食品、物流、モビリティ、インフラなどの連結子会社には、それぞれ異なる就業規則と給与体系があります。三菱商事グループで働く全員の平均年収ではありません。
7社比較では平均年間給与が首位
同一年度の有価証券報告書を基準にすると、三菱商事の2026年3月期平均年間給与2,112万5,472円は、7大総合商社のなかで最も高い水準です。三井物産が約2,059万円、伊藤忠商事が約1,991万円で続きます。もっとも、数十万から百万円程度の差だけで働きやすさやキャリアの優劣を決めることはできません。
会社ごとに平均年齢、平均勤続年数、従業員の算定範囲、賞与や持株会奨励金の扱いが異なります。そのため順位を見るときは、同じ年度の提出会社単体の数字と注記をそろえることが前提です。
7社の年収と初任給を同じ基準で比較したい場合は、各社の開示範囲と採用区分をまとめた記事も確認してください。
三菱商事について公式資料から確実に確認できるのは、2026年3月期の平均年間給与が2,112万5,472円、平均年齢が42.3歳、平均勤続年数が17年7か月であることです。2026年度実績の初任給は、総合職の学士卒が月35万円、修士卒が月38万5,000円です。
年齢別・役職別・部門別の平均年収や、海外駐在時の標準年収は公表されていません。したがって、本記事の開示値から個人の将来年収を算出することはできません。三菱商事は7社比較で高い平均年間給与を示していますが、就職・転職時には応募職種の募集要項と提示条件を別に確認する必要があります。

